私説昭和文学 価格: 1,260円 レビュー評価:4.5 レビュー数:2 村上もとかは若くしてチャンスをつかんでしまった。しかし、力作『空の城』は、その端緒から敗北が決定づけられているような話だった。そして、1972年、その連載は、始まったばかりのところで切り捨てられた。田中角栄のブルドーザーのような日本列島改造論とともに、『ジャンプ』の方針も変わったのだ。社会も、読者も、時代のブルドーザーの下敷きになる人々には共感を持たなくなっていた。その経験から、村上もまた自分を切り捨てた。そして、世界に売り出されていく車の話に飛び乗り、生き残り、キャリアを掴んだ。しかし、これが成功だったのか。 この本では、死に損ないの作家たちが採り上げられる。ここに、関川・ |
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